イギリスのフットボール雑誌である『Four Four Two』が毎年恒例のフットボール長者番付を発表したが、そこでリバプールを所有するフェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)のオーナー、ジョン・W・ヘンリーは20位にランクされた。そして記事は、これまでに獲得した勝ち点と費やした金額から、勝ち点1あたりの金額を750万ポンドと算出した。
この計算がいい加減なのもので、ちょっとした遊びであることは『Four Four Two』も認めているが、『マネーボール』もしくは『サッカーノミクス』の具体的な適用例としては興味深いだろう。『マネーボール』はブラッド・ピット主演で映画化されたマイケル・ルイスの本で、オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンが統計を駆使して評価を軽んじられてきた選手たちを発掘し、チームがチャンピオンになるのを助けた、という話だ。サイモン・クーパーらが著した『サッカーノミクス』は、フットボール版のそれとも言えるもので、データの分析がチームに競争力と違いをもたらすという話で、これは選手のスカウトだけでなく、契約管理からPK、ケガの予防まで着眼点は多岐にわたっている。
『Four Four Two』がデータが示すもの全てが役に立つわけではないと言っている、この点にはリバプールでディレクターを務めるダミアン・コモッリが反論するはずだ。
『Pay as You Play』の著者であるポール・トムキンスは、著書の中でスパーズでのコモッリの選手獲得を分析し、30%が大きな利益を生み、25%は大損、残りはその中間と結論付け、「全体として2,650万ポンドの純利益を生んだ」と見ている。このコモッリのホワイト・ハート・レーンでの実績と、ビーン本人からの推薦で、ヘンリーは彼を雇うことに確信を得た。
現役の監督や選手に「Match of the Day 2」に出演してもらうのは簡単ではないが、モイーズとは喜んでソファで話をしたいし、いつだってゲストに迎える価値がある。このスコットランド人と話をすれば、ものの数分で話に耳を傾ける価値があると誰にでも分かるだろう。他の監督と違って行間を読む必要などないし、試合に臨む情熱にあふれている。そして、彼にはスコットランド人監督の伝統を引き継いでもいる。ストライカー不足に悩んでいても、ルイ・サハとの間に一線を引くことに躊躇いは無かった。