Friday, December 9, 2011

ただいま最高潮のスパーズ

2回続けてのスパーズ関連。今回はアメリカの経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に出てきたスパーズの好調ぶりに関する記事。こんなメディアにまで出てくる、ってくらい、今の好調さが際立っているのだと思う。前回のキングのインタビュー記事が内側からの洞察とすれば、これは外側からの目だけど、語られてる論点はメンバー固定のメリットとリスク。※記事は先週末のボルトン戦の前のもの。


++(以下、要訳)++

シーズンも4カ月目に入り、否定し難い驚くべきコンセプトがここにはある。トッテナム・ホットスパーは、プレミアリーグのタイトル挑戦者のペースに食らいついているだけではなく、彼ら自身がその一員となっているのだ。

いまトッテナムはイングランドで最も熱いチームだ。スパーズはここ10試合で9勝1分け、30ポイントのうち、実に28ポイントを稼ぎ出しているのだ。チームは現在1試合消化が少ないながら、マンチェスター・シティと7差、マンチェスター・ユナイテッドと2差の3位につけている。

伝統的なスタイルを採るハリー・レドナップと、両ウィングのスピードを活かしたワイドな戦い方で、スパーズは全てのクラブが2枚の快速ウィングを置いてタッチライン沿いを駆け上がり、相手ディフェンダーを舞うように交わしてエリアをクロスで切り裂いていた時代へと先祖返りをしている。

この驚くべき快進撃に、ファンたちもスパーズが史上初となるリーグ優勝とFAカップの2冠を成し遂げた栄光の1960年代と今のチームを並べているくらいだ。しかし、それは今のスパーズを古い時代になぞらえる唯一の理由というわけではない。スパーズの今季ここまでの台頭は、同様に古い哲学とも言える「勝っているチームをいじるな」という哲学によって成し遂げられている。

他のチームのスタメンの選び方など気にしない。プレミアリーグへのメンバー登録が締め切られた8月31日以来、トッテナムは10試合で15人の選手しか先発で起用しなかった。同じ期間で比較すると、スウォンジーと並んでリーグ最少の数字だ。全試合で先発したのは7人、1試合を除けば9人、というのは20チーム中最高の数字になる。対照的にマンチェスター・ユナイテッドは22人、チェルシーとアーセナルは20人を先発で起用している。

今はスピードと激しさが特徴の現代サッカーでは試合数も多く、強豪チームの多くにとってはローテーションの採用が最もトレンディな戦い方だ。そんな時代だけに、トッテナムが成し遂げていることは特筆すべきなのだ。

同じ11人を毎週土曜日に起用し続けて、チームをタイトルへと導くなどというのは、もはや古めかしささえ漂う戦い方であり、逆に革命的なものとしても通用しそうなくらいだ。レドナップは、「だからこそ、我々はいまリーグで上手くやっているんだ。そんなに沢山代えていたら難しいと思うね」と語っている。

勝ちチームを変えない、というのがいつも急進的な考え方だったわけではない。1981年にアストン・ヴィラがタイトルを勝ち取った時に、当時の指揮官ロン・サンダースはシーズンを通じて14人の選手しか起用しなかった。リバプールは1984-85シーズンにリーグとヨーロッパのカップを勝ち取るのに15人の選手しか必要としなかった。

しかし、時代が変わって年中連戦続きとなると、トップクラブの監督たちは皆おせっかいをするようになった。昨シーズンタイトルを勝ち取ったマンチェスター・ユナイテッドは、2試合続けて同じスタメンで臨んだのは僅かに4度だった。かつてリバプールを率いたラファエル・ベニテスは、99試合連続で異なるスタメンを並べた。

「どこであれトップチームにはメンバーが揃っていて、8人、9人、10人と選手を入れ替えることができる。シーズンは厳しいものだし、ごく普通のことだろう」と、今季既に19人をスタメンで起用しているマンチェスター・シティのロベルト・マンチーニは語る。

しかし、スパーズは安定したメンバーでも勝てると言うことを証明したといえる。スパーズはここ5試合を見てもスタメン変更は3人だけで、原因は全てケガだ。そしてメンバー選択でのこの継続性によって、輝かしい成績を現在残しているのだ。

レドリー・キングとユネス・カブールは中央の守備で強固な連係を見せており、過去10試合中9試合で共に先発、この間スパーズは僅かに7失点だ。ピッチの反対側では、ラファエル・ファン・デル・ファールトとエマニュエル・アデバヨルが2人で13ゴールを挙げ、中盤の軸となっているスコット・パーカーとルカ・モドリッチがスパーズのボール支配率に貢献している。

無論トッテナムの連勝には、単に同じメンバーをピッチに送り出していること以上の理由がある。そのうちの多くは、現在絶好調のギャレス・ベイルのパフォーマンスにあるだろう。このウェールズ人ウィングは、強さ、スピード、ワイドな位置からの正確なクロスによって、ヨーロッパのサッカー界で最も欲しがられる存在となっている。

加えて、スパーズは今季のチャンピオンリーグ出場を逃し、グループリーグ敗退寸前のヨーロッパリーグにはメンバーを落として臨んでいる。タイトルを狙う他のチームが週の半ばにヨーロッパの強豪と相まみえている間、トッテナムのスタメンの面々は毎週1試合ずつこなすだけで済んできた。

トッテナムが上昇傾向にあるとしても、これだけ少人数の選手に頼ってタイトル争いに残り続けられるか、という疑念はある。シーズンの疲れが積み上がり始めれば、ケガでカギとなるメンバーが出場できないケースも出てくるだろうし、その時に頼るのはそれまで出場時間の少ない選手だ。3-1で勝利したウェストブロミッジ戦では、モドリッチとファン・デル・ファールトを欠いたが、やはりそれまでの流暢なプレーは鳴りを潜めた。

そして10数人の選手だけが先発するとしたら、25人のメンバーの間での不満噴出をどう避けるのかという問題が出てくる。ウェストブロム戦では、ジャメイン・デフォーがファン・デル・ファールトの代わりにプレーしてスパーズの2点目を決めもしたが、彼自身、サブという立場を受け入れるのには難しさを感じていると語っている。

それでも、大半の選手たちはチームが勝ち続けている限りにおいて、ベンチにいることも受け入れると語っている。ディフェンダーのウィリアム・ギャラスはこう語った。「ウチには俺みたいに毎試合プレーしたと思ってる強力なメンバーが揃ってる。時に受け入れることは難しいし、挫折感も味わうが、やがてそれは受け入れるようになるんだ。より重要なことはチームが勝っているということだからな」

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記事の言う通り、ここにきてキングが欠場し始めてるのは気になるところだけど、そんな時に最後のところでコメントしてるギャラスが穴を埋めているのは心強い。年末年始の過密日程と未消化のエヴァートン戦をこなしたところでどの位置にいるか、楽しみなところ。

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