Saturday, March 31, 2012

品格と共にオールド・トラフォードを去るディミタール・ベルバトフ

マンチェスター・ユナイテッドのディミタール・ベルバトフは、昨シーズン、あれだけゴールを量産しながらチャンピオンズリーグの決勝ではベンチ入りすらできず、今季はその流れそのままに不遇の時が続いている。今シーズンいっぱいでの退団やドイツへの移籍の可能性を報じる記事も出ており、またひとつのキャリアの転換点を迎えつつあるベルバトフに焦点を当てた、「ガーディアン」紙のダニエル・テイラー記者のエッセイ。


++(以下、要訳)++

先週カルロス・テヴェスについて多くのことが語られた一方で、昨シーズンのゴールデンブーツを分け合った男は全くと言って良いほど取り上げられていない。しかし、彼こそテヴェスにフットボーラーが難しい時期を迎えていても、尊敬を集め続けることができるかを教えることができるだろう。ディミタール・ベルバトフは、多くの失望に静かにかつ尊厳を以って対処しながら、この1年を消費し切ってしまった格好で、彼の代理人であるエミル・ダンチェフもマンチェスター・ユナイテッドが今季終了と共に彼をフリーで放出することを喜んで公言するようになってしまった。

その日は近付いてはいたが、実際にその日が来るとなれば、静かにやってくるだろう。恐らくクラブのウェブサイトに数行だ。そしてベルバトフは礼儀正しくコートを身にまとい、ドアへと近づいて行くだろう。ほぼ確実にビルの裏口だ。

この1年の流れは非常に変わったもので、どうしてこうなったかを解明するのは困難だ。ベルバトフは、我々を苛立たせると同時に浮つかせもした。彼のプレーは観る者の心を動かし、良い時には我々を魔法にかけ、悪い時には大いに困惑させた。しかしながら、究極的には彼がサー・アレックス・ファーガソンが買った最も高い選手であり、明白に取り返しがつかないほどに信頼を失っているという意味で、彼は失敗したと見ることを考える必要があるだろう。それでも、ベルバトフの物語は普通ではなく、単に成功か失敗かという物差しで判断をするのは難しい。

リーグ82試合に先発、24試合に交代出場して48ゴール、というのはトッテナム・ホットスパー時代と比較すると実際には改善なのだが、それでも彼が失敗作として記憶されるのはほぼ確実だろう。これらのゴールのうち20は昨シーズンのものであり、ウェイン・ルーニーを含む同僚の数名は、クラブのプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに彼を推したほどだ。どんなに彼の自尊心が傷ついているとしても、今季も10試合に出場して7ゴールを記録しており、その半分は交代出場で決めている。

これらはストライカーであればふつうは大事に思う数字であるが、避けられない事実は、アレックス・ファーガソンは彼では最高レベルでは不十分と明確に判断したということだ。つまりは、ベルバトフは下位チーム相手には活躍の場を与えられるが、より緊迫した試合には使われないのだ。驚くべき数字は、彼が過去14カ月にわたってトップ6相手には先発していないということだろう。2008年の移籍市場締切日にやってきて以来、ユナイテッドのビッグゲーム -決勝や準決勝、ヨーロッパのノックアウト・ステージ、クラブ・ワールドカップ、アーセナル、チェルシー、リバプール、シティ、スパーズとのリーグ戦- 66試合のうち、41試合で外されている。

足りないのは適切な説明であり、唯一、ダンチェフによれば、ファーガソンはベルバトフに「ユナイテッドのスタイルをよりスピーディーなものにしたい」と伝えた、とされるだけだ。おそらく、過去3度のチャンピオンズリーグ決勝で2度バルセロナに敗れたことが、ユナイテッドの遺産となっているのだろう。ベルバトフのフットボールはハープでカデンツァを奏でることができるが、ユナイテッドは別のリズムでプレーをするのだ。おそらく、ゆっくりゆっくり、よりはチャ・チャ・チャなのだ。

昨シーズンの試合でも、チームメイトのひとりがベルバトフが全力で走らないことに声を上げた。ベルバトフは、それが彼のプレーしてきたスタイルで、その時は速く走る必要もなかったと反論した。「このクラブでそうするというのなら、」と返事が続き、虚辞は葬り去られた。

これらはベルバトフの、散発的にではあるが相手を恐れさせるプレーの質に誤解を生じさせた。彼のタッチが申し分ない時には、観る者にボールが彼の言うことを聞いているかのように思わせただろう。それはしばしば魔法のようですらあったが、おそらく、十分な頻度ではなかったのだろう。

べルバトフは、彼を最高レベルと認識させるために欠くひとつの要素 -大一番に自分自身を対峙させるパーソナリティ- については、そのままにしておくだろう。証拠のひとつは、昨季のFAカップ準決勝で、シティに十分な時間を与えただけだった。チャンピオンズリーグでは22試合無得点だった。彼は1946年以来、初めてリバプール戦でハットトリックを決める選手となったが、それにしても相手が順位表の底から5番目に位置していた時だ。加えて言うならば、彼と組んだ時のルーニーは、ファーガソンが期待するレベルで輝くことができなかった。2人が組んだ最初のシーズン、一方がもう一方のゴールをお膳立てしたのは1度だけだった。2人は多くの場面で輝いたが、真に一体化することは無かった。

こうした出来事を通じて、ダンチェフの言葉を借りるなら、ベルバトフがクラブからの高給を受け取り続けるのを快くなく感じているが、ダンチェフは「テヴェスのようなスキャンダルを起こすのは彼のスタイルではない」と続ける。インタビュー無し、騒ぎも無し、監督の背後を突くコメントも無し。単に上手く行くことを望み、そうはならなかった、特に昨季のチャンピオンズリーグ決勝を思い出せば明白だ。彼はユナイテッドの得点王だったが、サブにも入ることができずに悲しみに暮れ、とうとうドレッシングルームを出ることができなかった。それ以降は、ユナイテッドとの別れが決まるまでにこれだけ時間がかかっていることだけが驚きだ。

ベルバトフは果てまで彷徨い過ぎて、フットボール界の忘れ去られた男になる危機にある。先週の金曜日、ファーガソンはダンチェフが皆が想像する退団の可能性を確認した後で最初の記者会見に臨んだ。3,075万ポンドの男、ベルバトフに関するコメントは何ひとつ無かった。

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スパーズに声援を送る身としては、彼の退団劇には苦々しいものがあるが、一方で輝きを失って欲しくないと思っているのも人情としてはある。ユナイテッドで可能性は無いのだろうから、早く次の輝き場所を見つけて欲しいもの。

Tuesday, March 20, 2012

後進の道を開拓する先駆者となったムアンバ

FAカップのトッテナムとボルトンの試合をESPNの中継で観ていた僕には、とても重苦しい時間だった。実況のジョン・チャンピオン氏が「ムアンバに何かが起きている」と言ったと思ったら、程なくカメラは遠いアングルになった。詳細を映さないようにするためだ。背筋がゾッとした。

心停止で倒れて病院に運ばれたムアンバの治療は現在も続いていて、メディアもかなりの割合にこの話題を取り上げているが、その中で「インディペンデント」紙のサム・ウォレス記者が、今の危機的な状況ばかりに目を向けるのではなく、彼が先駆者となっている部分にも再度着目すべき、とのコラムを掲載。


++(以下、要訳)++

彼が生命の危機と闘っている今こそ、ファブリス・ムアンバが若くして既に多くを成し遂げていることを振り返る価値があるだろう。事実、そこには、あなたがプレミアリーグでプレーする23歳から想像するであろう名誉や豊かさ以上のものがあるのだ。

昨年の夏にデンマーク行われた21歳以下のヨーロッパ選手権で彼が人生について語った際、12年前に家族がコンゴ民主共和国からロンドンに渡って来た話になった。彼は自分の過去をこのように語った。「それがアフリカさ。そうだろ?そういう大陸なんだ。常にドラマと戦争やいろんな事があるんだ」

その点について彼は正しいのだが、生き抜くためにコンゴ民主共和国を後にし、ムアンバは自分の人生に多くをもたらした。英国の最新の移民世代の先駆者となり、新しい国をイングランド代表として気持ち良くプレーできるほどに受け入れた。

記者会見で寄せられる場違いな質問のひとつが昨年の夏にもあり、イングランドのU-21代表としてプレーする際に英国国歌を聞くのはどのような気分か、と尋ねられた。彼は「ただ自分がどれだけ離れた所にたどり着いたかを考える。イングランドの人々が自分を助けてくれて、自分はその一部だと感じる」と答えた。

ムアンバがプレーするのを見るといつも、- そしてこの週末の出来事のずっと前だが - 私の同僚のイアン・ハーバートが2008年の10月に行ったインタビューのことを思い返す。インタビューは人種差別に反対する「Kick It Out」の後援でのものだったが、彼は自分の人生の話をありのままにそれでも愉快にしてみせた。

彼は11歳の時にどのように国を離れてイングランドに向かったかを詳しく語った。母親と共に東ロンドンに到着した時には、"Hello, how are you?"の4語の英語を知るのみだった。この未知の土地への旅が、アフリカに残るよりもベターな選択肢だった。彼の父親が大統領のモブツに誓う忠誠が、家族を危険に曝す恐れがあったためだ。

2008年のインタビューでは、まだイングランドについてよく分からない点があることを彼も認めていた。彼は学校で少女に「自分の国に帰れ」と言われることに悩んだ。それでも彼はそれを我慢し、特にアカデミーの選手としてプレーしたアーセナルで多くのサポートがあることを知った。アーセン・ヴェンゲルには個人的にも支えられた。

彼は、トレーニング場に向かうための正しい電車の乗り方やどのようにオイスターカードを使った良いかについて悩んでいる、とヴェンゲルに打ち明けたことを思い出していた。悩みは生活する知恵がないことだったのだ。ヴェンゲルは彼にすぐに慣れるとアドバイスし、そして彼は正しかった。

アメリカと同様に「イングリッシュ・ドリーム」なるものがあるとすれば、まさにムアンバはそれを実現した。彼がやってきたのは発展途上国で、アフリカでも最も危険な地帯の1つからやってきた。そして彼は輝いたのだ。フットボーラーとして成功した彼は勉学でも優秀で、通信制の大学で数学と会計を学ぶためにどのように準備をしたのかもインタビューで答えてくれた。

キンシャサで生まれたムアンバだが、イングランドのU-21代表でプレーする決断をした。彼はそこで33試合に出場したが、これは歴代2位の記録になる。彼はコンゴ民主共和国の代表としてプレーすることは難しいと考えている。そうしたオファーは、国に彼と彼の家族を連れ戻そうという政治的な罠だと考えられるからだ。多くの意味で、彼の決断は自身の埋め合わせでもあるのだが、だからと言って彼の重要性が変わるわけではない。

国籍についての人の考え方が極めて個人的で、出生証明書に何と書かれているかよりも、個々のアイデンティティと帰属意識がどこにあるかに関わってくる。ムアンバについて素晴らしいのは、彼がフットボーラーとしてイングランドを受け入れた最初の世代であり、イングランドが彼を受け入れたことに満足していることだ。

ムアンバは「僕はこの国に養子に来たようなものさ。みんなが僕を助けてくれたし、諸手を広げて歓迎してくれて、僕に機会を与えてくれた。普通の暮らしには十分過ぎる額を稼ぎ、快適な生活を送っている。これには本当に感謝しているんだ」と昨年の夏に語っている。

これは彼がイングランドの求めに屈しただとか、才能あるアフリカ人を帰化させろだとかいう話ではない。単純に、かなりをフットボールを通じてだが、ムアンバは彼の新しい「家」に結びつきを感じているということなのだ。それぞれガーナ、セネガルで生まれたマルセル・デサイー、パトリック・ヴィエラが、1998年のワールドカップを勝ち取った多様なフランス代表チームの一員になったのと同じであろう。

ムアンバには、今後続く多くの後進たちの先例であって欲しい。既に何人かは続こうとしているのだ。18歳のサイド・ベライーノはもうひとりのイングランドの世代別代表の一員だが、彼はブルンジで生まれて、政治難民として家族で移民してきたのだ。

これがイングランド・フットボールの良さだ。他のイングランドの社会と比べても、国の顔ぶれの変化を投影するという意味では抜きん出ている。イングランドの若年世代の代表選手の名前をFAのウェブサイトでチェックし、それをひとめくりすればその通りであることに気付くはずだ。もっとも、どの家族の物語も異なっていることは言うまでもない。

ムアンバはその夏のインタビューで「僕は自分の人生についてそんなに多くは語らない。もし聞かれれば答えるし、聞かれなければそれまでだ。そんなもんだよ。僕が話をすればいつだって『何が真実なんだ?』と聞いてくる。みんなは車とかそういうものに目が行ってるんだ。他のアフリカ出身の選手たちも同じように感じてると思うよ」と語っている。

寒い12月の夜にロンドンにやってきたムアンバの話は、移民の素晴らしいサクセス・ストーリーだ。彼が生命を懸けて戦うのを待つのは家族、友人、チームメイトたちにとっては耐え難い時間だろう。それでも、彼らもムアンバが自分のやり方で、既に後進が感謝しながら続くであろう道筋の先駆者となっていることを知っておくべきだろう。

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現在のところ、ムアンバが英語、フランス語で微かに話をし始めた、というのが最新情報。僕らが直接助けることができるわけじゃないけど、何とか回復して欲しいもの。

Saturday, March 17, 2012

スパーズが3位に留まるために必要なこと

プレミア3連敗で、逆転勝利を続けるライバルのアーセナルにすぐ背後まで迫られているスパーズ。メディアには、監督のハリー・レドナップがイングランド代表監督の最有力候補として取り沙汰され、それがチームのパフォーマンスに影響している、と指摘する向きもある。スパーズがこのまま3位をキープするにはどうすべきか?「イーブニング・スタンダード」紙による特集記事のタイトルは、「落ち着け、そしてルカ・モドリッチを中央に」。


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僅か16日の間に、トッテナムはプレミアリーグのタイトル挑戦者から、来季のチャンピオンズリーグ出場権を心配する立場に変わってしまった。

ハリー・レドナップのチームは依然としてトップ4を確保できるだろうが、この3連敗でアーセナルやチェルシーに新たな希望を与えてしまっている。アーセナルがニューカッスルに勝ったことで、ノースロンドンのライバル同士のポイント差は1まで縮まっている。

ファビオ・カペッロがイングランド代表監督を辞任して以来、レドナップはその有力な後任候補として名を挙げられるようになり、以降リーグ戦は1勝3敗だ。3連敗はレドナップが指揮を執るようになってからは初めてのことだ。

本紙では、スパーズがリーグでの調子を取り戻すために監督と選手ができるであろういくつかの点に着目した。


1. ベストな選手をベストなポジションに

ルカ・モドリッチはリーグでも屈指のクリエイティブな選手であり、中央で起用されるべきだ。左で使われれば中に入ろうとしてスパーズのワイドな攻撃の脅威を半減させてしまうし、彼自身の影響力も薄まってしまう。レドナップが4-4-1-1から4-2-3-1へと変更し、モドリッチがサンドロやスコット・パーカーのようなディフェンシブな選手2枚の前でプレーできるなら、彼のスペースもオプションも制限されないはずだ。

ギャレス・ベイルについても同じことだ。シーズンの序盤、このウェールズ人に自由な役割を与えたのはレドナップの賢明な判断だったが、それでも彼の一番の持ち味は左サイドで発揮される。ベイルを彼の好みのサイドから動かしても恐さがなくなるだけだ。アーロン・レノンの負傷がチームバランスに影響しているが、結果的にモドリッチやベイルがそれに苦しむのは残念なことだ。


2. セットプレーの集中トレーニング

一体どれだけトッテナムがフリーキックやコーナーキックからゴールを生みだすだろうか?セットプレーからゴールを決められないのは、スパーズのサポーターの苛立ちのもとでしかない。ベイル、ラファエル・ファン・デル・ファールト、ベノワ・アス・エコト、そしてモドリッチ、と皆ペナルティエリア近くから狙うが、上手く行くのは極めて稀だ。

ユネス・カブールが大きく外すフリーキックは、スタンド後方のファン、カベのディフェンダー、そして広告のロゴを脅かす。チームの攻撃的なアプローチは、特にホワイト・ハート・レーンでは数多くのフリーキックを生みだす。スパーズほど才能に溢れた選手層があるのなら、もっと効率的な方法に行きつくことができるはずだ。


3. イングランドのことは忘れろ

レドナップにはほぼ不可能なことだろう。誰にでも別の職に就くチャンスを経験したことはあるだろうが、熟慮したFAの「距離を置く」という判断は、実際のところトッテナムのシーズンを不安定なものにしている。

選手たちにとっては言い訳にもならない。レドナップの将来が不透明であることは選手の会話のネタにはなるだろうが、パフォーマンスに影響するようなものではない。シーズンが終わる前にレドナップがチームを去ることなどほぼ考えられないし、選手たちも少なくともプレミアリーグが閉幕する5月13日までは、そのことを考える必要もないのだ。


4. ワントップ

チャンスを得て活き活きしているジャメイン・デフォー、そして最近ではルイ・サハには厳しいかもしれない。それでも、スパーズが今季ここまで一番良いパフォーマンスを見せていたのはエマニュエル・アデバヨルが1トップでプレーし、ベイル、レノン、ファン・デル・ファールト、そしてカイル・ウォーカーがその周りでリンクするために前へと上がっていた時だ。アデバヨルのフィニッシュがデフォーほど正確ではないことに苛立つこともあるが、彼の準備の良さとチャンスをお膳立てする能力は軽視されるべきではない。アデバヨルが良いコンディションであれば、中盤の選手がやたらと前線に走り込まなくとも大きな攻撃の脅威を与えることができるのだ。


5. 落ち着け

もしかすると、これがスパーズの追い込みには最も重要な側面かもしれない。レドナップの苛立ちは、エヴァートン戦に敗れた後のインタビューでは明白だったし、選手たちにも最近の試合では普段よりもカリカリしている様子が見て取れる。

誰もに深呼吸が必要なのだ。まるで懲らしめのような2週間だったが、パニックに陥る必要はない。残り10のプレミアリーグの試合のうち、現在の順位表で7位以上のチームとの対戦は1つ(チェルシー)だけだ。

アーセナルやチェルシーと比べると対戦相手に恵まれているのだ。落ち着いて集中力を保てば、3位は依然として彼らのものだろう。

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あのまま順調に行くのも、結果的に3位になるのも、どっちも「スパーズらしくない」と思ってから、こうしてドタバタするのはヤキモキしないで楽しんで見ることにしてるが、結果の面でここまで綺麗にブレーキがかかるとメディアは好きなことを言うよなー、と。ま、そのトーンの変わり方も含めて楽しいもの。

この「イーブニング・スタンダード」ってのは、ロンドンの無料夕刊紙で、地下鉄の駅とか出た所でいつも配ってる。普段取り上げる「テレグラフ」や「ガーディアン」、「インディペンデント」とはトーンが違うのだけど、ロンドンをベースにしてるから、ロンドンのチームの記事は比較的多いし、順位表とか見るとロンドンのチームだけ太字だったりする。

Friday, March 2, 2012

崖っぷちのヴィラス・ボアスの命運を握る5試合

チェルシーの調子がなかなか上向かない。11月に「道を誤ったチェルシーに降りかかる危機」と題した記事が出た頃から比べても、内紛めいた話が出てくるようになった最近の方が悪いくらいだろう。あわせて、監督のアンドレ・ヴィラス・ボアスの去就をめぐる話題も騒がしくなってきている。そんな記事のひとつをピックアップ。「テレグラフ」紙が予想するヴィラス・ボアスの命運を握る5試合。


++(以下、要訳)++

今やアンドレ・ヴィラス・ボアスは、チェルシーのオーナーであるロマン・アブラモビッチの支持を失ってしまったのではないかと懸念していることを認め、彼にチェルシーで残されている時間は短いのではないかとの憶測がますます広まっている。この先の試合が、彼の運命をどう左右するかを占った。

3月3日(土):ウェストブロム vs チェルシー(プレミアリーグ)

この先5試合の中では、最も勝てる可能性が高いはずだ。机上では分かりやすくチェルシーの勝利を予想できるが、ウェストブロムはサンダーランドに4-0で勝利して勢い付いている。同日にアーセナルがリバプールをアウェーで戦うことから、4位争いでのロンドンのライバルに差を付けるまたとないチャンスだ。

予想結果:勝つだろうが、AVBが称賛されることはない。
敗れた際の解任の可能性:60%。まだ大丈夫。


3月6日(火):バーミンガム vs チェルシー(FAカップ再試合)

バーミンガム相手にサボってしまったチェルシーは、先週のスタンフォード・ブリッジでの当惑を繰り返さないためには、全方位的に攻めまくる必要がある。AVBが留任するには、絶対に勝利が必要だ。

予想結果:チェルシーが準決勝に進出。
敗れた際の解任の可能性:40%。バーミンガムに敗れれば、さらにトロフィーをあきらめることになりアブラモビッチも受け入れ難いだろう。勝利はAVB留任を意味するが、プレッシャーからの解放にはさして役立たないだろう。


3月10日(土):チェルシー vs ストーク(プレミアリーグ)

AVBが解任されないないために最も重要な対戦の2つに挟まれている。ストークの調子は最近安定しないが、開幕間もない頃の対戦ではドローに持ち込んでいるし、チャンピオンズリーグの試合を視野に主力を休ませたりすれば、番狂わせが起きる可能性も出てくるだろう。

予想結果:チェルシーの辛勝
敗れた際の解任の可能性:20%。生死をかけたチャンピオンズリーグの対戦を前に、アブラモビッチが監督人事にメスを入れるとは考えにくい


3月14日(水):チェルシー vs ナポリ(チャンピオンズリーグ、1stレグはナポリが3-1で勝利)

チャンピオンズリーグに注がれている重要性を考えれば、これがAVBの最後の試合になる可能性は十分になる。ナポリは1stレグでの勝利に値したし、2ゴール分のアドバンテージがあるが、チェルシーが勝ち抜く可能性が完全になくなったわけではない。

予想結果:ナポリの勝ち抜け。
敗れた際の解任の可能性:100%。チャンピオンズリーグ敗退は、AVBの棺の最後の杭を打ち込むことになる。アブラモビッチは、一度として彼のクラブがヨーロッパのエリート大会でプレーし続ける期待を隠したことはない。AVBの運命には、他のどの結果よりも重要な試合だ。


3月19日(月):マンチェスター・シティ vs チェルシー(プレミアリーグ)

仮にAVBがまだ指揮を執っているとすれば、それはチェルシーがFAカップもチャンピオンズリーグも勝ち残っていることを意味し、彼らの調子も上向いていることになる。であれば、このポルトガル人監督は自分たちの復調を証明するためにトップ4入りを目指して戦えることに興奮しているだろう。

予想結果:スコアが入ってのドロー。
敗れた際の解任の可能性:0%。チャンピオンズリーグとFAカップでの勝ち残りはプレッシャーを和らげはするだろうが、AVBは安心できるわけではないし、この試合の結果はシティのタイトルとチェルシーのトップ4入りの双方に重要な意味を持つ。AVBにとっても見る価値はあるだろう - それがテレビであれ、ベンチからであれ。

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ということで、「テレグラフ」紙的には、チャンピオンズリーグ敗退で解任って見てるのかな。