Monday, August 22, 2011

分岐点にあるトッテナムの鍵はモドリッチ

スパーズの今期についての記事が無いものかとずっとアンテナを張ってたものの、基本的にモドリッチの騒動にまつわるものが多くて、手が出なかったのだけど、この「テレグラフ」紙のダンカン・ホワイト記者のまとめ記事は、モドリッチの件にも触れつつ、比較的引いた目線で好感が持てた。


++(以下、要訳)++


2度目のチャンピオンズリーグ出場とオリンピック・スタジアムの使用権確保を逃し、クラブは前のめりになって他の大枚をはたくビッグクラブと競い合うのか、そもそも現在の位置にたどり着くのを助けた持続可能で慎ましいクラブ経営にこだわり続けるのか、板ばさみの状態になっているようだ。

この先、移籍市場が閉まるまでの間に起こることが、スパーズがチャンピオンズリーグに相応しいのかを決め、この先3ヶ月でスタジアム問題に起こることが、長期的にクラブがヨーロッパのエリートと競っていけるのか決めることになるだろう。昨シーズンのような活気はないかもしれないが、トッテナムの未来に向けては重要なシーズンなのだ。

新加入選手

使える資金が手元にあるのは確実だ。クラブの1月の動きは活発で、ディエゴ・フォルランやジュセッペ・ロッシ、アンディ・キャロル、フェルナンド・ジョレンテ、そしてセルヒオ・アグエロさえ獲得を狙っていた。ハリー・レドナップは、ダニエル・リヴィ会長は確かな選手には3,000万ポンドでも支払う気があった、と言っている。クラブはチャンピオンズリーグから2,700万ポンドの収入を得ており、ある程度の選手獲得が可能な状態なのだ。

1月の候補リストからも明らかなのは、優先順位が高いのが、4-5-1でワントップを務められるストライカーだ。ジャメイン・デフォーとピーター・クラウチはパートナーがいた方が活きるタイプで、一番適正があるロマン・パヴリュチェンコは安定感に欠ける。短期的な解決策はエマニュエル・アデバヨールのローンだろうが、長期的にはレアンドロ・ダミアンの獲得が望ましい。トッテナムは夏の初めにこの22歳のブラジル人ストライカーを獲得しようとしたが、3,000万ポンド以上を求める所属のインテルナシオナルと条件で合意できなかった。スパーズはすでにサンドロを獲得しているインテルナシオナルと良い関係を持っているが、バルセロナとインテル・ミラノも獲得に動いており、これを実現するのは困難な挑戦となるかもしれない。

レドナップは中盤とセンターバックも強化したいと考えており、スコット・パーカーはその候補だったが、現在はレアル・マドリードのラッサナ・ディアラとの契約が近づいている。ディフェンスでは、レドナップはマンチェスター・ユナイテッドに移籍したフィル・ジョーンズの獲得を狙って失敗したことを明かしたが、そのブラックバーンのクリス・サンバを好んでいる。

「我々は今もディアラやアデバヨールの話を進めているが、どんな進捗があるのかは分からない。それに獲得したとしても、彼らがどの程度プレーする準備ができているかは、今の所属クラブでのトレーニング次第だからね」とレドナップは語った。

モドリッチの状況

仮にモドリッチが売られれば、すべてが変わるはずだ。レドナップはこの夏初めて、クラブの鋼の抵抗に壁にはヒビが入っていることを示した。先週「ルカについては2つのオプションがあり、素晴らしい選手を確保するか、資金を得て4人補強し、良いチームを作るということもできる」とレドナップは述べた。

これは会長のリヴィに対する、事態を先延ばしにするなという明瞭なメッセージだ。レドナップはチームには使える選手が足りないと見ていて、彼が必要と考える選手を獲得するためにはモドリッチを犠牲にすることもできるのだ。チェルシーはまだ金額を上げたオファーを出しておらず、リヴィは依然売却を拒否する姿勢を示し、モドリッチの残留に自分の信用を懸けている。3,500万~4,000万ポンドともなればリヴィも態度を軟化させこともあるかもしれないが、オファーが殺到でもしない限り、モドリッチ放出は自爆に等しい。

レドナップは、「会長がモドリッチは売らないと言った以上、それが決断だ」と述べている。

過剰な人員

モドリッチを売って3、4人の選手を獲得したとして、それはトッテナムのもうひとつの問題を増大させるだけだ。過剰な選手数だ。トッテナムはこの夏、選手の売却に苦しんできており、登録できる以上の人員を抱えることになりかねない。トッテナムは良い給料を支払っており、それが移籍先を見つけるのを難しくしている。

ジョナサン・ウッドゲイトはリリースされ、ジェイミー・オハラは500万ポンドでウルヴズ、ロビー・キーンは350万ポンドでLAギャラクシーに加入した。そしてスパーズはジョヴァンニ・ドス・サントス、アラン・ハットン、デイヴィッド・ベントレーを売ろうとしていて、ジャメイン・ジーナス、ニコ・クラニチャル、セバスチャン・バソング、ウィルソン・パラシオス、そして3人のストライカーのうちの一人も、適正なオファーがあれば取引に応じる構えだ。

プレミアリーグの規約では、ファースト・チームには25人の選手しか登録できず、これを超えては21歳以下の選手しか加えられない。昨シーズン最大の25人を登録し、スティーブン・ピーナールを獲得、そしてギャレス・ベイルとジョヴァンニ・ドス・サントスは22歳になった。この点が、スパーズは売る前には買いたがらない理由だ。9月2日に選手登録を行う時には、余計な選手に給料を支払っていたくはないのだ。現在のところ、スパーズには27人の21歳以上の選手がいる。

新スタジアム

トッテナムにはクラブの成長を維持するためのスタジアムが必要で、仮にこの4、5年を上手く運ぶことができれば、ヨーロッパのエリート・クラブに挑戦し続けるクラブへと脱皮できるはずだ。今シーズンの終わりにはチャンピオンズリーグの常連クラブに肩を並べる施設を誇るのブルズ・クロスの練習場がオープンするが、ノーザンバーランド開発プロジェクトを進めることができなければ、結局ホワイト・ハート・レーンにとどまることになる。

オリンピック・スタジアムの入札に敗れ、クラブは再びトッテナム地区でのノーザンバーランド開発プロジェクトに集中しているが、この実現の可能性はトッテナムが自治体の支援金を得られるかに左右される。すでに地域成長基金(RGF)助成金には申請を行っており、最終的には副首相のニック・クレッグによる閣僚会議で決定されるが、その前に、ロード・ヘセルティンが率いる独立諮問会議に持ち込まれる。助成金を受けられることになった場合は、その資金はスタジアム自体ではなく鉄道・駅の改良や近辺の公共の場所、その他インフラの改良に充てられる。

最近起きた最悪の暴動はこのエリアで起こっており、スパーズは地元の自治体と、プロジェクトがどのようにこの地域の高く増大している失業率の改善に役立つことができるか、議論を重ねている。

トッテナムのそもそもの動機は、より大きな収入を得るために大きなスタジアムを持つことであるが、地元の再開発はロンドン市長のボリス・ジョンソンにとっては嬉しい副産物であろう。地元のサポートが無ければ、トッテナムはまた振り出しに戻ることになる。クラブはピッチの中でも外でも、これ以上現状維持を続けることはできないのだ。

++++

ということで、モドリッチの件はそのうち決着するだろうけど、他はこれからしばらくずっとついて回る話。サラリーキャップも含め、スパーズは良くも悪くも持続可能かどうかを凄く重視する。アイデンティティの再定義が必要な時期なんだよな、ホント。

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