今季はチャンピオンズリーグの出場権も獲得しており、いよいよ打倒ユナイテッドに意気上がるマンチェスター・シティ。アーセナルからナスリの獲得も近いと言われるが、毎年の騒動の真ん中にいる監督のロベルト・マンチーニについて、「インディペンデント」紙のイアン・ハーバート記者が柔軟性に欠けると指摘している。
++(以下、要訳)++
マンチェスターの両指揮官は、共に昨日の街の惨状を目にしたが、状況を把握しているのは一人だけのようだった。
ロベルト・マンチーニは、「フットボールの話をする前に、まず事態の鎮静化に尽力してくれたマンチェスターの良識ある人々に感謝したい」と述べたが、サミ・ナスリの価値について語る前に、地域の団結を重視した姿勢は歓迎されるべきだ。
しかし、サー・アレックス・ファーガソンにとっては、暴動を起こした若者の動機に対する当惑というのは、自分のチームの若者の気持ちを理解することとさほど違いはないようだ。「彼らは目を覚ませて、自分の属する社会を認め、両親が彼らのためにしてきたことを認め、得てきた機会を認めようとしているんだ」と略奪者たちについて、声明を読み上げるでもなく淡々と語った。ウェズリー・スナイデルとの契約について聞かれると、「もう誰のことでも忘れていいんだ。今いる若者たちに満足している」と答えた。
もちろん2人とも体裁を取り繕ってはいるのだが、ファーガソンが若者に賭ける決断をした後の安堵感から語ったのに対し、マンチーニはまだ自分が大混乱の真っ只中にいることを自覚していて、アブダビが所有するクラブとなって4年目を迎えるにあたり、怒りに満ちて選手の売り買いとチーム作りを行っている。マンチーニは昨日、結局ナスリが月曜のスウォンジーとの一戦を前にシティの選手とはなっていない状況について「心配している」と語っていた。
シティが描く壮大なシナリオのもとでは、カーリングカップでウェスト・ブロミッジに敗れたことなど記録に留めるまでもないことであるが、マンチーニはことある毎にそこに立ち返るという。昨年の9月、マンチーニは結果的に1-0で勝つことになる4日後のチェルシー戦のためにメンバーを温存し、どこのクラブか分からないようなメンバーでホーソーンズに乗り込み、結局チームの敗戦を見届けた。もちろん彼は、グレッグ・カニンガム、ジョン・ギデッティ、ジャヴァン・ヴィダル、ベン・ミーといったメンバーをチャンピオンズリーグ・クラスの戦いに使えないことは分かっていた。二兎を追う戦いをして、5月の時点でチャンピオンズリーグ圏内に入れないという結果に対する恐怖に彼はこの3ヶ月間も苛まれてきている。
幹部のギャリー・クックやブライアン・マーウッドについて、マンチーニは「彼らだけの問題ではない。今はマーケットの状況も厳しいのだ」とナスリ獲得が進まない苛立ちを表しつつ語った。「彼らには迅速に動くように伝えた。簡単でないのは分かるが、我々はこの選手を必要としているのだ。リクエストを出したのは2カ月も前だ」
マンチーニは、選手の獲得については権限を持っている。彼はアシュリー・ヤングはシティが追い求めるべき選手ではないと判断し、フィオレンティーナで右ウィングを務めるアレッシオ・チェルチに関心を持つのが彼だけであったとしても、必要と判断すればマリオ・バロテッリ並みに気の短いこのイタリア人の獲得に動くこともできる。しかし、依然としてそれはマンチーニを含む幹部の間に「彼ら」と「我々」っがあることを示している。それは、前任のマーク・ヒューズの頃には無かったことなのだが。
マンチーニは話し合いで物事を解決するのが難しい男ともいえ、選手時代は全く妥協が無かった。メンターでもあるスヴェン・ゴラン・エリクソンは昨年の春に「レフェリーと?いやいや、彼は酷かったよ。彼は自分をコントロールできなかったんだ」と思い起こしていたし、年齢がそれを和らげたことも全く無い。マンチーニと共にベンチに座っているコーチたちは、選手として才能に溢れていると、自分の選手たちのミスを理解できないものなのだ、と見ている。妥協を許さないキャラクターは、彼がシティに来る以前からあった前提に対する態度からも見てとれる。昨日の午前10時にふらりとカリントンの練習場に姿を見せたクレイグ・ベラミーは2年前は最も影響力のある選手だったが、マンチーニが彼と上手くやれていれば、今のチームには無いサイドでの幅をもたらしていたはずだ。
しかし、このイタリア人はそうした素養を持ち合わせてはいない。「我々には今のチームがあり、彼は良い選手だが他に解決策があるのであれば、その方が良いだろう。彼がここに留まるのは難しい」と昨日も語っていた。ショーン・ライト・フィリップスもサイドに深みをもたらす選手で、UEFAの求める自国出身選手の規定(チャンピオンズリーグ選手登録の4分の1)も満たす存在であるにも関わらず、9月には放出されていることであろう。
多くの人は、その2人はヨーロッパリーグ・レベルの選手だ、と言うだろうが、彼らの代わりにやってくる選手たちも、必ずしもシティに来たいわけではないのだ。ユナイテッドに加わりたいと考えていたナスリは、親しい友人たちには「別にシティに行きたいわけじゃない」と語っている。セルヒオ・アグエロの戦略的な獲得も、アトレティコ・マドリーの幹部のアンヘル・ヒル・マリンがレアル・マドリーに彼を放出することで予期される批判を受けるつもりが無いことを計算してのことだが、シティとしてはバロテッリやカルロス・テヴェスをどれだけの間キープしておけるのか確信を持てないという事情があった。
これだけの選手層を持つマンチーニに、月曜にはナスリも加わるかもしれないという状況で、シティ以上にユナイテッドを追い上げられる存在は見当たらない。しかし、昨日の暴動に対するマンチーニのコメントを聞くと、彼の中でのサイレンはもう鳴りやんだようだ。激動の9ヶ月後には、より大きな音が鳴り響いているのではないか?
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この暴動に関することが無くとも、普段からマンチーニはプレス対応で割を食ってる気が…。上手にやればクラブの印象も変わるハズなんだけど。ま、ファーガソンもBBCとケンカしっ放しだし、それで成績が上向くわけじゃないんだけど。スパーズ的には、サラリー半分以上負担してくれてアデバヨール貸してくれたら嬉しいことこの上なし。いまシティに必要なのは、選手の資産としての現在価値をマトモに評価して、サンク・コストは損切りして早く適正規模にチームをまとめることだと思う。これは、40人の大所帯のスパーズも同じで、簡単に行かないのが移籍マーケット。「マーケット」だから、出し手と受け手の双方が納得しないと動かないしね。
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