BBCがたまーに更新する「Tactics Blog」はその名の通り戦術分析のブログで、マンチェスター・ユナイテッド対バルセロナのチャンピオンズリーグ決勝以来の更新は、プレミア開幕節のチェルシー。トーレスの好調さを活かすには中盤の奮起が必要と指摘。BBCの記事ってことで、ハイライト番組「Match of the Day」の解説者で元アーセナルのリー・ディクソンのコメントがかなり引用されている。
++(以下、要訳)++
チェルシーのアンドレ・ヴィアス・ボアスはこの夏にスタンフォード・ブリッジに来て以来、自分をスペシャル・ワンと考えるよりも、むしろコレクティブなアプローチを説いてきた。
フェルナンド・トーレスのコンディションについて何度聞かれても、彼は個々の選手についてのコメントはためらいがちだった。そのスタンスはトーレスが0-0のドローに終わったストーク戦で移籍以来最高のプレーを見せても同じで、このポルトガル人監督は注意深くグループを称賛した。
彼は必ずしも完全にチームのパフォーマンスに満足しているわけではないが、鉄壁の守備陣をこの夏に構築したかのようなストークを相手に1ポイント確保したことには満足していた。
トーレスは、ライアン・ショークロスからの集中砲火を浴びながら、ジョナサン・ウッドゲイトともやり合った。それでも見る者を唸らせたのはトーレスのシャープさと改善された動きだった。
「マッチ・オブ・ザ・デー」の解説者リー・ディクソンは、「ヴィラス・ボアスはトーレスに前線での自由を与え、それが彼に自信をもたらした。トーレスのプレーは本当に良かったし、昨シーズンとは別人だ」と語った。「あの頃はやらされてるイメージがあったし、気の利いたプレーはひとつも無かったが、本物のトーレスが戻ってきた。前半チェルシーはほとんどチャンスを作れなかったが、ラインを破ろうと上手く走っていた。ただ、そのラインが尋常に無く屈強でプレッシャーがきつかった」
トーレスには一度PKをもらってもおかしくないプレーがあり、シュートは3本だったが彼のプレーへの関与ぶりには目を見張るものがあった。昨シーズン、チェルシーでのトーレスは90分平均で44タッチだったが、ストーク戦のブリタニア・スタジアムでは89分で66タッチであった。配球の面でも改善が見られ36本のパスというのは、昨年の21本とは大違いだ。しかし、話はそれで終わらない。
※1は先週末のストーク戦、2は昨シーズンのニューカッスル戦。青はパス成功、赤は失敗。
この27歳のストライカーは、継続的に頭脳的なポジションを取ってボールを受け、ストークのペナルティエリアに向かうドリブルは、ショークロスに脅威を与え続けた。それでもショークロスはトーレスのドリブルに幻惑されながらも、賢明なディフェンスで凌いで見せた。
ヴィラス・ボアスは、試合に先立って、ピッチにもっとスペースを作るという意図について説明していたが、それこそがディディエ・ドログバよりもトーレスを選択している理由なのだろう。彼の理論では、フランク・ランパードのような選手が中盤にいるのであれば、フォワードの選手にはラインの間でプレーして欲しいとは考えない。トーレスが横の動きで改善を見せたことが、起用の決め手となった。
移籍マーケットが閉まるまであと2週間となり、ルカ・モドリッチを望む声はますます高まり、ディクソンもモドリッチの加入はランパードを助ける意味でも有効と考えている。「ジョン・オビ・ミケルの配球は時折遅く、マイケル・エッシェンがフィットしていればおそらく彼はチームにいないだろう。チェルシーにはボールにシャープにアタックできるラミレスがいて、中盤はジョゼ・ボシングワとアシュリー・コールというフォワードのような2人のサイドバックのフォローも得られる」
「ランパードは、フィットネスの面でペースをつかむのに時間を要することがある。33歳になり、大きな怪我からの回復には時間がかかるのだ。彼が良いときには、ペナルティ・ボックスに次々飛び込み、ピッチを走り回ってゴールを決めている。チェルシーは、モドリッチのような選手がもたらすちょっとした違いを必要としていて、彼の獲得には必ずまた動くはずさ。いま求められている中盤でのクリエイティビティのプレッシャーから開放されれば、フランクはもっと前にいけるはずだ」
「ボール捌きが得意で、パス出しができ、そしてどんな状況でも受けられる選手が必要で、それで相手に不安を与えることができればなお良い。モドリッチが相手に与える脅威は、ディフェンスや中盤を押し込むことができ、それがトーレスやランパードのスペースを生むことになる。それだけでなく、他の選手も今までなら走りこまなかったスペースに走り込める。ボールが出てくるのは分かっているし、モドリッチも再びボールを受けるために他の場所へ走り込むからだ。そういう能力を持つ選手が入ることによるドミノ効果だ」
「ストーク戦後には、ヴィラス・ボアスは自分のチームには様々なクオリティがあることを知ったはずだし、タイトル獲りに挑戦するにふさわしい力があると分かっただろう。そして、中盤のクリエイティブな選手が欠けていることも。それでも、一番のプラスはトーレスのシャープさだ。圧倒的な結果を出したわけではないが、それでも昨シーズン末からの飛躍的な改善を見せた」
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なんか、後半はディクソンがしゃべり倒した感のある記事だな。それでもトーレスの復調ぶりはあちこちで語られていて、やはり途中合流ってのは難しかったんだなとも思う。しっかし、モドリッチの件はずーっとヒヤヒヤしてるから、そろそろ勘弁して欲しいんだけどな。
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