Monday, August 1, 2011

昇格に自信を見せるアラーダイス

プレミアリーグから降格し、今シーズンはチャンピオンシップで戦うウェストハムの監督に就任したサム・アラーダイスは、1年での復帰に自信を見せている。「ガーディアン」紙のデイビッド・ハイトナー記者によるインタビュー記事。


++(以下、要訳)++

サム・アラーダイスは、フットボールの監督しての自分の進化を振りかえり、「俺は獰猛な牛で、常に怒り、心配症で、要求の強い男だった」とゆっくり語った。常識を覆し続けたボルトン時代のことを語っているのではなく、リムリック、ノッツ・カウンティ、ブラックプールを率いて成長していた頃の話だ。

「今のスタイルを考えれば、あれも成長プロセスの一環だ。経験が無かったのだから、他の方法があったとは思えない。ただ、経験から学ばなければ、この世界では生きて行けないよ」そう語るアラーダイスは、ここまで続けられた。以前ボルトンで10年契約を結んで56歳で引退したいと語っていたが、この10月に57歳になる。先月の初め、ウェストハム・ユナイテッドと2年契約を結んだ。彼の役目は、降格でダメージを受けたクラブのモラルを回復し、すぐにプレミアリーグに戻ることだが、もちろんこれは簡単なことではない。

ウェストハムは降格が決まって以来、12人の選手を放出したが、その数はまだ増えるかもしれない。プレミアに残ることを切望しているスコット・パーカーは、値段が見合えば売られるだろう。アラーダイスも「スコットの話はデリケートだ。我々の望む額を提示するクラブがあり、それが彼の望むプレミアのクラブからのものであれば、彼はいなくなるだろう」と語っている。

アラーダイスは、パーカーではなくニューカッスルから400万ポンドで獲得したケヴィン・ノーランをキャプテンに指名した。いずれにしても昨シーズンもオフに契約切れでリリースされたマシュー・アップソンがキャプテン・マークを巻いていたのだが。

「スコットがキャプテンだったという誤解は、チームを奮い立たせたウェスト・ブロミッジ戦(2月)でのハーフタイムの演説から来ている」とアラーダイスは0-3から3-3に持ち込む奮起をチームに促したスピーチに触れ、「何て言ったのか、議事録でも欲しいね。俺も使う」と笑った。「でも彼を構想に入れるのは誤りだろうな。ケヴィンは自分の将来がここにあり、チームをプレミアに連れ戻したいと思っているからここにいるんだ。俺も同じだが、ドロップアウトしているのは1シーズンで十分だ」

1シーズンでの復帰を公に約束させられているも同然だとアラーダイス本人も認めているが、昇格が必須なのは財務面にも理由がある。クラブには8,000万ポンドの負債があり、共同オーナーのデイビッド・サリヴァンが言うには、チャンピオンシップでシーズンを過ごすことで、クラブの計画には4,000万ポンドの穴が開く。それに、2014年にはオリンピック・スタジアムに移転することから、プレミア復帰は急務なのだ。

それでもアラーダイスは楽観的だ。ノーランに加え、ボルトンから220万ポンドでマシュー・テイラーとフリーでジョーイ・オブライエンを獲得し、ストーク・シティからは、アブドライ・フェイを迎えた。左サイドバックとストライカーを優先に、さらなる選手獲得を目論んでいるが、イングランド代表でもあるロバート・グリーンとカールトン・コールについては、残る公算が高くなってきた。

アラーダイスは、「狙いは当然自動昇格だ」と語り、「仮にそれを逃したとしても、俺が一夜にして最低な監督になって選手たちが最低なプレーをするようにならない限り、最悪でもプレーオフだ」と続けた。

近年のアラーダイスのスタイルは、図太い神経に支えられた自分への信念と燃えたぎる情熱で特徴づけられている。かつては「ファンや新聞、オーナーたちが言うことに怯えて」夜中に目を覚ましていた彼は、いまでは周囲の雑音を完全に無視できるようになっているが、ウェストハムのような騒がしいクラブにはちょうど良いだろう。

「俺はかつては酷く心配症で、悲観主義者だった。元々ディフェンダーだったことが影響しているかもしれない。ひとつミスをすれば監督に怒鳴られるからな。自分が良いプレーをした記憶はないし、憶えているのはミスばかりだ。昔は本当にバカみたいに心配ばかりしてたが、年をとって実績も残すとそれは無くなったし、監督業でも同じことだ」

身の不安定さが確信を生むということをアラーダイスの過去は雄弁に語っている。ニューカッスル、そして最近ではブラックバーンでの彼の解任劇は、いずれも新オーナーとウマが合わなかったのだが、それでも彼は自分の履歴書に強い誇りを持っている。人心掌握術が一番の強みであり、レアル・マドリーやインテルのようなビッグクラブでも、機会さえ与えられればトロフィーを勝ち取れると考えているくらいだ。

「何年にもわたって俺は色々なことを言ってきたが、人々はそれを笑い、俺が一体どうしてどこかの監督になって指揮を執れるのか、と笑った。実に不愉快な侮辱だ。俺は、いつ、どこのどんなクラブに行ったって結果を残せると思ってる。CEOみたいなもんだと思うだろ?優秀なCEOなら、どんな業界のポジションについたって会社に利益をもたらせるはずで、俺はそれをフットボールの文脈でやるまでだ」

今でもアラーダイスを苛立たせることは簡単だ。あんたのチームはロングボールのケンカ・サッカーだとか、ウェストハムのやり方には合わないとか言ってみれば良い。彼は「小さく古びたボルトンがチェルシーやアーセナル、マンUなんかを打ち負かすような時には、人々には言い訳が必要なんだ。ラファエル・ベニテスのリバプールがリーボック・スタジアムに来た時にはいつだって負かしてやったが、彼らにはそれが我慢ならなかったんだよ」と言い返す。

アラーダイスのウェストハムは我々を楽しませてくれそうだが、それ以上に勝つだろう。彼は、マンチェスター・ユナイテッドやチェルシーは創造的であると同時に破壊的なんだ、と主張する。「彼らには適応力があって、2度同じようにプレーすることはない。アーセナルはするだろうが、それこそアーセナルが6年も何も勝ち取れない原因だろう」

アラーダイスはまず、降格は跳躍板に乗るようなものだと確信させなければならないが、彼は既に「ヨーロッパ圏内に食い込み、カップ戦のタイトルを獲る」と将来を描いている。「どこまでいけるか?それは、オーナーたちがどれだけ本気で夢を現実にしたいと思っているかにかかってる。俺は今までそうしてきたし、ここでもそうだ。俺の役目は夢を現実に変えることだ」

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